転職年齢のウソ・ホント。大事なのは理由と目的

f:id:shima-kousack:20210825135357j:plain

インターネットで転職について検索をすると、20代後半から30代前半にかけての年齢が転職の最後のチャンスである「転職限界年齢」とする記事をよく見かけます。実際に転職限界年齢である35歳を超えると、転職は難しくなるのでしょうか? 

20代・30代の転職事情や転職を成功させるポイントと、転職成功に必要な準備・スキルにどのようなものがあるのかを見てみましょう。 

転職者の平均年齢は上昇傾向にある

この十数年間で転職者の平均年齢は年々上昇傾向にあります。その理由として挙げられるのが少子高齢化です。

若者の総数が減少することでかつてのような新卒採用が難しくなり、即戦力となる30代以上の人材を採用したいと考える企業が増えていることも、転職者の平均年齢を引きあげている大きな理由の一つです。 実際に転職サイトの求人を見てみると、年齢による足切りはかつてほど厳しいものではなくなっています。

年齢による転職のハンデは薄れつつある

厚生労働省が発表したデータによると、35歳以上の転職者は増加傾向にあります。 今後も少子高齢化が加速度的に進むと考えられているので、年齢が転職に影響する度合いはさらに低下すると考えられます。専門性や経験が要求される業界や職種なら、この傾向はさらに強まるでしょう。

実際に転職者の経歴を見ると、 30代後半でも専門性や経験を要求される業界・職種からの転職希望者も少なくなく、年齢による転職のハンデは薄れつつあるのは確かなようです。転職エージェントの実感としても、転職では年齢よりもスキルセットのほうが重視されるようになっている印象があります。

35歳でも転職しやすくなっている

慢性的な人手不足や転職者の増加により、かつての転職限界年齢と言われた35歳を越えても転職がしやすい環境になりつつあるものの、やはり一定の壁があることも事実です。 

優れた実績やスキルを持たない人でも採用確率は上がっているものの、やはり何かしらの実績やスキルがあるほうが、採用確率は高くなる傾向は明らか。差別化を図るためにも、在職中から何らかのスキルを手にしておく必要は高まっています。スキルが身についていないことが理由で転職を躊躇しているなら、ハローワークが就職支援の一環として提供する職業訓練を受けることも選択肢の一つです。 

転職の平均年齢を確認してみよう

転職限界年齢が引き上げられているとはいっても、平均的にみるとやはり転職に成功している年齢は34歳以下が多いようです。とはいえ、繰り返しになりますが、34歳以上でも転職を実現している人は増加傾向にあります。 

繰り返しですが、年齢に関係なく、スキル・経験の有無や転職先の企業にどこまで貢献できるかが重視されるようになっているのです。 

年代による平均年収の違い

20代前半の平均年収は、新卒として入社してからあまり期間が過ぎていないこともあって200万円台と低い水準ですが、20代後半の平均年収は300万円台まで上昇して、ここから歳を追うごとに年収がアップする傾向にあります。

30代後半の平均年収はおおむね400万円台で、この年代になると働き方が安定するだけではなく役職に就くケースも増えるので、年齢に応じて年収をアップさせることができると言えます。

職種や業界で変わる?30代以上でも転職しやすい業界

f:id:shima-kousack:20210825135407j:plain

ここまで転職者全体の傾向を見てきましたが、業界ごと見るとどのような違いがあるのでしょうか。 

厚生労働省が集計・発表している「雇用動向調査結果の概況」を見ると、「転職(入職)率」が一貫して多いのが宿泊・飲食サービス業で、転職者全体の2割近く、生活関連サービス業・娯楽業が1割程度で続いています。 

30代以上の転職を成功させるために必要なもの

宿泊・飲食サービス業や生活関連サービス業・娯楽業は離職率が高い一方、常に求人があるので同業界へ転職する方が多いようです。これを踏まえると、30代以上の方が転職しやすい業界としては、実際には高度な専門スキルは特に必要とされない業界や人手不足が進む業界の転職間口が広いので狙い目だといえます。 

30代以上での転職には、20代に求められるフレッシュさや勢い、意欲だけではなかなか採用にはつながりません。30代以上には、即戦力として新卒にはない経験やスキルこそ期待されるのです。

スキル・経験を目に見える形で見せる

「即戦力」として評価されやすいのは、「スキル」や「経験」です。20代までであればこの2つに乏しくても、積極性のアピールでもポテンシャルを買われたり、育てがいがあると判断されて採用されることがあります。 

業種や職種にもよりますが、共通して評価されるスキルや経験にはマネジメント能力とコミュニケーション能力があげられます。30代以上での転職者には管理職を目指してほしいと考える企業が多く、マネジメントやコミュニケーションスキルが重視されるのです。

身につけるべきはポータブルスキルと専門スキル

「問題解決力」や「論理的思考力」など、どんな業界でも活きる社会人としての基礎能力を「ポータブルスキル」といい、高いポータブルスキルがあれば、転職成功率が高くなります。ポータブルスキルに加えて特定分野の知識や技能などの専門スキルを保有すれば、転職成功率がより高めることができます。

30代以上の転職は、「ポータブルスキル」と「専門スキル」の両方を備えることも大切だと心得ておきましょう。

転職条件を欲張らない

自分が実績を積んでいればいるほど、転職に高い条件を設定したくなりますが、条件を増やしすぎると該当企業の数がどんどん絞られていきます。

転職先に求める条件は、年収や福利厚生、勤務内容など、「絶対に譲れないもの」を3つ程度までに絞りこんで、欲張り過ぎないことが大切です。

企業側が求める人材は年齢によってこんなに違う

企業が中途採用をする背景には、募集時点で人材が不足していることを示唆していますが、企業が入社希望者に何を求めるかは、世代によって違いがあります。入社希望者に求められる条件は何なのか、世代別に見てみましょう。

20代に求められること・必要なスキル

20代には、将来性やポテンシャル、意欲などが求められます。たとえスキルや経験に乏しくても、前向きに努力する姿勢や今後活躍する意欲が感じられれば、知識や能力・経験は後から育てられると考えられるからです。

できるだけ「仕事への意欲の高さ」や「積極的に学んでいきたいという姿勢」を見せると良いでしょう。20代ではスキルよりもポテンシャルが求められるので、社会人としてのビジネスマナーや仕事への熱意が重視されます。

30代に求められること・必要なスキル

30代には、「即戦力」としての実力が求められます。これまでの経験を活かして、入社後すぐに力を発揮してくれる人というのが企業側の理想です。前職でチームリーダーなどの経験があれば、将来の管理職候補者としても期待されます。

即戦力であることを求められる30代には、先にも触れたようにリーダーシップやコミュニケーション能力、即戦力としてのスキルが重視される傾向があります。

40代に求められること・必要なスキル

40代には、30代と同様に「即戦力」であることだけではなく、物事を先頭に立って進める「マネジメント能力」も必要とされます。また、専門性の高いスキルを持っていれば「専門職」としても期待されます。

専門知識だけではなく、それまで培ってきた人脈や柔軟性・協調性を持って状況に対応できる能力があれば、40代以降での転職のチャンスも十分考えられるでしょう。

転職年齢に惑わされず準備して転職活動に臨む

30代や40代以上の転職活動は、それまでの自分自身を見つめ直す作業ともいえます。これまでの経験や自分が望むことを冷静に分析し、納得した上で活動していくことが何よりも大切です。

「転職したいと思ったときに、すぐに転職する」というスタンスだと、準備不足で思わぬトラブルの原因となります。転職で実現したい条件を精査したうえで、ハローワークの就職支援を活用してスケジュールに余裕を持たせて、希望する条件の実現をサポートする転職サイト転職エージェントを選びましょう。